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冬山に入る場合、雪崩に対する準備だけではなく、ビバーグに対する準備もしていなければ意味がない。例えば雪崩に遭遇して運良く仲間を救出したが、その仲間が怪我をしていたらどうなるだろうか?。雪の上に怪我人をほっぽりだして、君は救助を求めに行く気だろうか。そしてもし、その時に夕暮れが迫っていたら?。
雪崩から救出しても、残念ながらこれでは二人ともお陀仏である。そんなときに重要な役目を果たす道具がある。これがここで説明する「ビバーグ装備」だ。ビバーグ装備はビーコンなどと同じく、個人がそれぞれ装備していなくてはまったく意味がない。
ビバーグ装備とは、ビバーグ、すなわち「緊急露営(正確にはフォースト・ビバーグ)」を目的とした装備である。ルートを見失った、天候が急変したなどの理由で予定通り下山できなくなった場合、ビバーグ装備があれば相当心強い。
ビバーグ装備は、ツェルト、ヘッドライト(替電池)、靴下の替え、下着(上のみ)の替え、手袋のスペア、糖分の多い飲み物(パックに入った粉コーヒーとか)、ピンチ(非常)食、※ラジオ(連泊時のみ)である。日帰りであろうと連泊であろうと、必ず携行しておきたい
「ツェルト」は簡易テントのことだ。別売りでフライやポールもあるが、そんなものを買うならドームテントを買った方がマシである。通常はツェルトだけで対処できるので、その他の付属品は必要ではない。
さて、ツェルトは「非常時に使う」ということから、一度も袋から出したことがないという人が多い。ツェルトは自立式ではなく、しかもある程度の設営知識を持っていないと使えない代物だ。しかもツェルト「だけ」では単なるナイロンシートに成り下がってしまい、冷雨などの下では最悪の思いをすることになる。ツェルトは日頃からよく使う習慣をつけておこう。
ではどうやって日頃から使うのか。
山頂や目的地に着いて昼食など大休止を取るとき、風が強かったり、雪が舞っていたりしたとき迷わずツェルトを広げて中に入るといい。それを繰り返すことで、ツェルトの使い方や快適性を上げる工夫が自然と生まれてくるはず。それはすなわち、いざというときに慌てない対処ができるということにもつながる。非常時に使わなくてはならないという決まりはない。積極的にバンバン使いたい。
ツェルトには「張り綱(紐)」が必ずいる。別に立派な山岳用ロープは必要ない。ホームセンターに売っている安物の紐(綿は凍るのでナイロンがよい)で十分だ。また嵩張らず、できる限り軽量なものを探すとよい。
買ってきたら6 〜7mくらいの長さで切り、これを4〜6本ほど用意しておく。それをツェルトの袋の中に押し込んでおこう。この紐があるかないかで、ツェルトの快適性が大きく左右される。「張り綱」があれば簡単にツェルトの設営が可能だ。基本的に、ツェルトは最低2本の紐があれば立ち上がる。
僕の場合は5mほどに切り上げた紐を、あらかじめツェルトにセットしてある。そして予備の紐を別に入れてある。
上の画像を参考に実際に現場でトライしてみてほしい。当然だがツェルトの周りに木立ちがあると張りやすいが、もし無い場合はボードやストックを利用するとよい。高さがそれで得られないときはツェルトの底側の雪を掘り下げるとよいだろう。
ツェルトの種類なのだが、できるなら両側に入り口があるもの、底のシートが完全にオープンになるものがいい。テントの老舗アライやIBSオリジナルのツェルトがオススメだが、単独用は僕は勧めしない。できるだけ通常の大きさのツェルトが万が一の際の利用を考えると使いやすいからだ。
ツェルトは風に脆弱なため、稜線より一歩下がった谷斜面に張るとよい。またそれでも風が強い場合はスコップで横穴を掘り、入り口をツェルトで塞ぐ「半雪洞」を掘るとよい。この辺りは臨機応変に対応しよう。
ツェルトの中でひとたびコンロに火を付ければ、そこはもう「春」というか「夏」。その威力の素晴らしさを是非経験してみてほしい。クソ寒い山頂のど真ん中で震えながらメシを食うなんてことからはもう卒業しよう。
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