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確かに打波川系は白山系の中では大人しい谷ばかりである。
願経寺谷をスゴイ、スゴイという沢ヤもいるが、下流部ゴルジュは度重なる堰堤工事によって昨今は壊滅的な状態であるし、かと言って源流部は脆い願経寺山からの岩肌崩落で、谷はまるでがれきの山のようになっており、とても「谷としてスゴイ」とは思えない。(しかしこのがれきの山は、確かにスゴイのだが・・・)
そういうこの流域の特徴的な要因もあって、三ノ又谷などを50ROUTEの中に加えざる得なかったのだが、しかし打波川は当然ながらこれですべてではなかった。
地形図で小さな支流を目で拾っていたとき、ふと目に留まった谷があった。周辺の支流に比べると遙かに流程は長い方で、しかもその渓は同様な長さで二つに分流していた。等高線の詰まり具合からもこの谷が急であることは読みとれた。「ここはどやろ」
1989 年、90、91 年と、三年をかけて完全溯行したこのミノ丸谷は、打波川屈指の渓相を秘めていた。右又には標高差100mは裕にあろうかと思われる巨大な大ナメ帯、左又には手強いドーム状壁に囲まれた大滝が鎮座するなど、溯行内容は周辺には比類無いほど濃厚である。まさにこれが秘谷と呼べるに値する。
周辺の流域は登山道が無く、それゆえに幽谷と深山の雰囲気を存分に味わえる。年間どれほどのパーティーが溯行しているのだろうか、そう思えるほど、周辺流域は今もって清閑そのものだ。
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