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この谷も番外と言われればそうかも知れないのだが、数少ない白山に近い福井県の谷の中では、特に素晴らしい美的ゴルジュを魅せてくれる谷。
ゴーロの谷を分け入ると、しばらくでこのゴルジュに出会える。両岸は厳しく屹立し、極端に狭まった V 字形が実に見事であり、圧倒的だ。
初めて溯行を試みたときは雨天後ということもあったのか、水量の激しさと相まって身震いをするほどの興奮を覚えた。
一度目のときは左岸を直登してトラバースしたりと通過に手間を取らされたが、二度目の時は記憶に消えるほど容易すぎた。谷は時間と共にその姿を変えていた。
一本の倒木が谷の内容をがらりと変えてしまったということはほんとうにある。しかしそれが溯行の興を殺ぐことはない。訪れるつどに変わる沢の姿を見ることは溯行する者の密かな楽しみだからである。
つめは枇杷倉山(びわくらやま)へと向かう。山頂は小さく、微かな切り開きもある。枇杷倉山は、白山南方稜線の末端に位置しており、またちょうど小白山から尾根が南西にカーブしていて、連なる稜線の眺めがすこぶるいい。冬季は痩せ尾根の難所となるが、この時期は大パノラマを手中にできる。
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