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白山最奥の渓谷と言えば、下流に白水(しらみず)湖(白水ダム)を湛える 大白川湯谷流域 がまずもって挙げられるに違いない。
人造湖である白水湖によって、源流域への入渓を極めて限られた者だけに許し、辛うじて未踏のにおいを漂よわせる、白山では数少ない流域がこの湯谷の各支流群だろう。
この流域には、溯行者の食指を動かされる多くの支流が軒を連ね、しかもそのどれもが深く切れ込んでいて豪快な瀑布を落とす。初めて タロタキ谷の三段滝 を下流域から俯瞰した時は、思わず息を呑んでしまった事が記憶に新しい。特に右支流箱谷や 別山谷本流 は夏を過ぎても雪渓が谷を埋めており、この処理が溯行の鍵を握ると言っても過言ではない。部分的とは言え、溯行は極めてグレイドの高い技術が要求される。
イチロザ谷は、その 湯谷下流域左岸から注ぐ 支流の一つ。日当たりが良い谷だから雪渓はかなり落ちているだろうと高をくくっていたが、そうした甘い判断はこの湯谷支流群には通用しなかった。脆いブリッヂが屈曲した地点に 必ずと言っていいほど出現するので一切気が抜けない。下降した、広大な谷幅を持つ 曲谷 も、ゴルジュこそ無いものの湯谷流域では最大級(空撮での確認により)の雪渓が残っていて、時期によっては、谷間はほとんど埋め尽くされてしまっているに違いない。
さすが白山。タダでは溯行者を帰してはくれない。
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