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今までにどれだけの溯行者がこの谷を訪れたのだろうか。そう思うほど手に届きにくい地理的な位置にある箱谷。
白水(しらみず)ダム を越えた 湯谷の最奥、別山谷の支流にある箱谷は、その名前の如く急峻で、両側は屹立した岩壁に覆われている。
今回我々は当初からの目的であった、左又の溯行をターゲットとした。その理由は手元に広げられた二万五千分の一地形図の「白山」に展開する箱谷の姿にあった。もしそこに地形図名白山があるなら是非地図を広げてみてほしい。そして
箱谷の左又出合 がどこにあるのかをじっくり観察してみるといいだろう。
僕はこの地形に釘付けになった。どんな谷なのか。実際にはどんな景観を見せているのか。そしてとうとう、この出合の全貌をこの目で捉えることとなった。
素晴らしい絶景だ。見上げるほどの一枚壁から左又からの流れがが注ぎ込む。想像を遙かに凌ぐ渓相がここには存在した。
夏場だと 源流2000m付近 から雪渓が遙か稜線までびっしりと詰まっていることだろう。そして別山が視界に届く頃には辺りは高山の趣に包まれ、そこが森林限界であることにも気づくことであろう。稜線までは、まるで天に昇るかのような直上のツメである。振り返れば辿ってきた白水ダム が遠く彼方に見えるはず。そこから溯行してきたと思うと、誰もが一回り大きくなった気分になるに違いない。
さあ右又を辿ったら、次は本流へと己の心を誘おう。
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