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尾上郷川の中でも名前が付く割に入渓の記録や話はなかなか聞かない、ブナゴヤ谷はそんな不遇な谷かもしれない。
本流別山谷へのアプローチ谷としてとても利用しやすいのだが、まだまだその辺りの目の付け所が、最近の溯行者は甘そうである。
ブナゴヤ谷は出合から連瀑が始まるという、周辺特有の渓相を持っている。ここで「特有」というのは、出合しばらくは手応えがあるものの、上流に向かうにつれて規模がこぢんまりしてゆくという、そういうことだ。この谷もその例に漏れず、源流は下流部とは衣を翻したように大人しい。
しかしここに控える谷のかたちはどれをとってもとても素晴らしい。釜といい、滝の姿といい、けっして他の渓谷と比べても見劣りしない。支流という、隠れた存在の中にこういう谷の姿を発見したときは、ほんとうに沢登りをやっていてよかったと思う。
この谷の写真は数年前の夏の、暑中見舞いの絵はがきにさせてもらった。容姿のいい滝に出合ったときは、まるで子どものように心がはしゃぐ。
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