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卜谷の「卜(うら)」とは、占いを意味する言葉である。獣の骨に生じたひび割れの形によって将来を占った、この文字はそれを意味するという。
周辺の山岳には、宝剣岳、錫杖岳(しゃくじょうだけ)、笈ヶ岳(おいずるがたけ)、仙人窟岳(せんにんいわやだけ)など、宗教との関わりを示すかのような名前が多く、きっとこの卜谷も、それらと深い結びつきがあるものと思われる。
卜谷は標高1,050m付近で左右に分流する。帰路の簡便さから右又の記録がやはり多い。
境川周辺の特徴的なこととして、稜線上にはほとんど道が無い。多少なり道があれば、それを利用して人知れない谷へもという、そんな不埒な考えも浮かんでくるというものだが、いかんせん道が無いと計画段階でのルートファインディングも受動的にならざる得ない。
この卜谷の左又も登山道などが無い稜線へ向かうということもあって、入渓者はごく希のようである。(しかし地形図からしても、右又の方に食指が動く)
卜谷も滝は多いが、やはりフカバラ谷やボージョ谷に比べれば、言葉は簡単だが大人しい。しかし高捲きに苦労する難儀な場面はけっこうあり、やはり境川の一支流という貫禄は十分に備えている。
下降路にボージョ谷を使うのは常套手段として、稜を越えて蛇谷岩底谷に下降するという、そんな古き良き時代の溯行者の足跡を再現してみるのもまた面白いだろう。車社会の中で、我々は歩くための足を失った、つくづくそう思えるこの頃である・・・。
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