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初めてフカバラ谷を溯行したときに受けた強烈な「境川」ショックは、その後いつまでも尾を引いていた。そしてしばらく、この境川ショックから立ち直れずにもいた。それほどにフカバラ谷の溯行は自らにとって圧倒的で、印象深いものだった。
確実に歩み、そして積み重ねてきたはずだった白山系の溯行というものが、いかに薄っぺらく視野の狭いものだったのかということを、フカバラ谷の溯行によって身を以て思い知らされた。
豪快な境川の奥懐、本流をつめ上がるフカバラ谷。内容の濃さはこれまた一級。訪れる溯行者は、きっとザックいっぱいに想い出を担ぎ下ろさねばならないだろう。
笈ヶ岳に突き上げる左支流を見送った地点から、フカバラ谷が始まると思っていい。水量が多いと難儀するF1 、そしてその上に控える岸壁に囲まれた連瀑。ここで時間を食うならあっさり引き返した方が無難かも知れない。谷中にも高度ある瀑が次々に控え、きっとものを考える余裕すら与えられないことだろう。しかもこれは源流帯に入っても同じこと。それほどに"剣谷"が凝縮された谷。
あーでもないこーでもないと、ルートを模索する己の姿は、実に哀れそのものだった。このショックは経験不足の当時の自分にはあまりにも大きかった。
フカバラ谷を終えて再び境川に訪れるまで、かなりの年月を経てしまったことは言うまでもない。恐るべし、境川
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