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この谷名の所以は知らないが、きっとここには何らかの"小屋"があったのだろう。しかし谷名は単純だ、つくづくそう思う。
小屋場ノ谷は本流大嵐谷に隠れてまったく目立たない存在。地形図を参照してもさしたる流程もなく、ヘボい支流の感が漂う。が、この谷はこのような愚か者たちを一蹴するかのような、登攀色の濃厚な谷だった。
出合から始まる二段滝から、捲かずに登れば一層溯行の重みが増す。滝は高く、捲かざる得ないものもあるが、登れる滝は登るのが挑む入渓者たちの暗黙の掟と、僕はそう思っている。。
しかし雨天後などは、その面白味も半減。水があるのと無いのではまるで渓相が変わってしまうと予想した。登れる滝も登れなくなり、そうした意味においてはこの谷の溯行は不発となるやもしれない。
比して支流には連瀑の谷が多いとつねづね思っていたが、この小屋場ノ谷もその例に漏れず素晴らしい「お宝」を内包していた。ともすれば見逃してしまいそうな陳腐な支流だったが、やはりイチバチで入渓してみることも時には必要なことのようだ。
この谷の溯行が手取川右岸渓谷開拓の火付け役になったことは言うまでもない。
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