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クマ谷、なんとも物騒な名前の谷だ。やはりクマが多いからか。ちなみに溯行地点の二又の左を トチマキ谷 と言う。こちらは栃の木が多いからか。谷名は実に面白い。
谷名というものは、現代のようなファッション感覚を元に付けられたわけではなく、そこに住んでいた人々が、場所を指定するために、あるいは領地を示すために付けた場合が多い。今のような高度な計測などできなかった時代、谷を目印として、あるいはそれを区域の境界として固有の名前を付けた。人名のある谷などはその顕著な例である。
このクマ谷もきっと単純な発想から命名されたものだろう。しかしその発想の鋭さには時折驚かされることもあるから命名者のフィーリングは侮れない。
クマ谷は手取川右岸の谷としては、ゴルジュのよく発達した秀渓の一つ。最後まで続く瀑の数々は周辺の谷の中でも群を抜く多さ。いきなり現れる30m滝はできれば捲かずに直登を試みたいもの。 過去4回の遡行では、悪コンディションのために二度敗北している。
二又まで軽快なゴルジュが続き、そのまま右又に入れば壮観なCS滝の連瀑に出会う。そのどれもが直登できるというのはゴルジュ谷では珍しいこと。
谷をつめ上がると大辻山に出る。あとはどこへ下降するか。その選定の一時も溯行準備の楽しみのひとつ。なお、大辻山には近年山道が開かれた。山頂から東へ辿ると現在延長中の白尾林道へと出る。逆に西へ辿るとクマ谷源流の稜線で行き止まりとなっているが、これを利用すれば下降点までの道のりはずいぶん楽になる。
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