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荒谷の素晴らしさには驚かされた。この谷を発見し、溯行したときのあの喜びは今でも忘れることができない。しかし今の荒谷は最悪の状態だ。谷は危機に瀕していると言っていい。
石川県が行う白山市と白山市を結ぶ 大規模基幹林道 が、なんとこの谷と沿うかたちで開かれつつある。中流域では谷に土砂が落とされ、以前の面影もだんだんと消えつつあるのだ。しかもこの林道は 奥西尾谷手前 で 橋を架けて横断 しており、谷は壊滅的なダメージを受けている。
林道の開発によって美形の渓谷がことごとく消え去った過去の事例を見ているだけに、この開発は許せない。地元自然保護グループも、「意味のない土建屋まる儲けの自然破壊」と、この乱開発に対して声を荒げているのもよく理解できる。
谷幅は小さいものの、中身の美しさは一級だ。大小織り交ぜた 滝の数々、両岸から空を覆うようなブナの森。これほどまでに谷らしい谷も珍しい。途中には小粒ながらも ゴルジュ があり、溯行内容にも抜かりはない。源流二又には本流側に大滝があり(画像右)、圧巻。右に進路を取ると、手取川右岸の山である大辻山に到達する。また稜線には近年道が拓かれ、藪漕ぎなしで三角点に立てる。
谷中は山の幸も豊富で、以前はイワナも多くいた。源流で摘んだナメコをホクホク顔で持ち帰った記憶が新しい。
下山路は同渓を取るのがもっとも手っ取り早いが、別項のクマ谷や小嵐谷などを選べばさらに溯行は完璧か。また、山頂付近に近年(04年)拓かれている杣道は、クマ谷 の源流部の尾根へと延びているようだが、反対は白尾林道へと延びているが、近年通行者もないのか下草が刈られず荒れ放題の様相である。
しかし谷中にできた林道、山頂に拓かれた杣道と、秘境荒谷ももはや秘境とは言いがたく、そこからくる寂しさは、やはり簡単には拭えるものではない。
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