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雄谷は尾添川の支流、蛇谷と同じ水系にあたり、ちょうど蛇谷の右岸尾根を隔てた裏側に、平行に流れる長大な渓谷である。
溯行の対象となるのは二つある取水口から上となる。そこまでは雄谷左岸沿いから始まる作業道をたどり、第二取水口から本流の溯行を開始することになる。
ぐねりと曲がった地点から始まるゴルジュは、ゴルジュという名に相応しい、素晴らしい渓相である。その中には30m 級の瀑が連なり、両岸の見事な立ち上がりと相まって、まさに圧倒的な眺めとなる。清水谷までは登れる滝はほとんどなく、終始捲きを強いられることになるが、高捲き途中からの滝の展望もなかなか優れていて必見だ。
雄谷は「黒滝」手前で清水谷が分かれ、「黒滝」の上でシンノ谷、水晶谷に分かれる。どの谷をつめるかで溯行日程も大きく変わるが、日帰りなら清水谷、大笠山を目指すならシンノ谷、玄人溯行を求めるなら水晶谷となろうか。
清水谷は、分かれてすぐに手こずる二本の滝があり、豪快。比べて他の二本はさしたる困難は見あたらない。が、シンノ谷から大笠山までは、千丈平の広大な笹藪を越えねばならず、これがルート上での最大のポイントとなろう。
よく使われるルートは清水谷を溯るルート。清水谷の源頭ではオーレンなどの栽培が行われており、驚くだろうが小屋もある。 また近年地元の山岳家たちの手によって、こから笈ヶ岳への登路が切り拓かれたそうだが、詳細は不明だ。
古くから地元の方々は、こうした山奥に自然の恵みを求めてやってきた、小屋もその名残なのだろうが、反面これだけの奥深い地に人工物が広がるのも興ざめのなにものでもない。ここからまた秘峰笈ヶ岳に登れてしまうとあればまたまた訪れる人間も増えてしまい、将来のことを考えると登山道の開拓も考えものである。登れない山は登れなくていいのだよ、そういうものだ。
数年目の話だが、雄谷取水口へ続く道上で岳人がスズメバチの猛攻に遭い、ヘリで搬送されるという事故が起きている。くれぐれも注意されたい。
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