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底知れぬ魅力と原始的渓谷美を湛える白山蛇谷。本流に注ぎ込む数々の支流は、そのどれもが登攀溯行の醍醐味を存分に味わえる。また各支流は流程が短いため、その点手軽に溯行できるところがこの渓谷群の特筆すべき特徴でもある。ただし前記の通りスーパー林道は歩行禁止なので、各支流へのアプローチはゴーロの本流を溯行することになる。
トークズレ谷はこの蛇谷流域の中でも豪快な谷だ。出合からシブい登攀で始まり、連なる滝群を登りまくる。圧巻はつめの大岸壁。これをどう登るのかは溯行者の腕の見せ所でもある。岩質は脆弱で浮き石が多い。壁面は軟土のれき岩壁であり、ランニングもままならない。ここをどのようなスタイルで登るのかが、この溯行最大のポイントでもある。
晩秋のスラブは蛇谷下流の国道からも遠望でき、溯行前に眺めるのも一考である。下降は国見山尾根(トークズレ谷左岸尾根)を忠実に下降し、尾根末端からトークズレ谷へ戻れる。
この谷の溯行で不覚にも買ったばかりの防水カメラをツボに落としてしまった。
ザックから落ちたカメラはオレの右足にストラップをからみつけていた。しかしオレは相棒がリードしていたためにカメラへ手を伸ばすことができなかった。カメラは水の流れに揺さぶられ、ついに無情にも下流へと消えていった…。が、オレは確保の手を緩めず、最後までそのカメラには手を伸ばさなかった。ああ、オレはなんて相棒思いなんだろう。。。。
この流域の山々には登山道はなく、それゆえに下降については神経を費やされる。下手に眼下の谷にでも降りようとすれば、登り以上の時間がかかる場合もあり、安易な下降ルートの選定は結果として大きな反省を生むことにもなる。少しでもこの蛇谷を知り得ている者であれば、予定外の谷への下降などしないであろうが。
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